「前歯が欠けてしまった、どうしよう」というお話もよく伺います。前歯の見た目を治すとなると、お金や治療回数がかかってしまうのではないか、と心配される方も多いのではないでしょうか。
しかし中には、小さな欠けや形の修正であれば、削る量を最小限に抑えて短期間で改善できる場合があります。それが「ダイレクトボンディング」という審美治療です。
この記事では、前歯のダイレクトボンディング治療の仕組みや適応・費用・実際の症例について、歯科医師の視点から解説します。
ダイレクトボンディングは、コンポジットレジン(プラスチック樹脂とセラミック粒子を組み合わせた素材)を歯の表面に直接盛り付けて、欠けや形の不揃いを修復する治療法です。
従来の被せ物と異なり、歯を大きく削る必要がなく、ごく少量の削合で済むという特徴があります。光を当てて素材を硬化させ、研磨することで自然な仕上がりに整えます。
欠けた歯の修復だけでなく、前歯の隙間(すきっ歯)の改善や、前歯の形を整える低侵襲な治療として、幅広く用いられています。
| ダイレクトボンディング | セラミック治療 | |
|---|---|---|
| 治療回数 | 1〜3回程度 | 2〜5回程度 |
| 削る量 | ごく少量 | 多め(被せ物の場合) |
| 費用相場(1歯) | 5万円程度 | 10〜15万円程度 |
| 寿命の目安 | 5〜10年程度 | 10〜25年程度 |
| 適応範囲 | 小さな欠け・形の修正 | 大きな欠け・歯全体の修復 |
※上記の数値はあくまで目安です。実際の治療回数・費用・寿命などは、お口の状態や症例によって変動します。
前歯の審美治療というと、セラミック(被せ物・ラミネートベニア)を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。ダイレクトボンディングとセラミックは、どちらも自然な見た目を実現する治療ですが、特性が異なります。
どちらの治療が適しているかは、欠けの大きさや患者様の希望によって変わります。「短期間で・削る量を最小限に」を優先する場合はダイレクトボンディング、「強度や長期的な耐久性」を優先する場合はセラミックという考え方が一般的です。
ただし、上記に当てはまる場合でも、状態によってはダイレクトボンディングが選択肢に入ることもあります。まずは検査・診査の上で適応を判断していただいた方が良いと思います。
カウンセリング・診査
欠けや形の状態を確認し、ご希望を伺いながら治療方針を相談
色合わせ・形のデザイン
周囲の歯との色味や形をシミュレーションし、患者様と仕上がりイメージをすり合わせ
レジンの盛り付け・形成
コンポジットレジンを層状に盛り付け、光照射で硬化させながら形を作る
研磨・最終確認
表面を磨き上げ、咬み合わせや見た目を最終調整
当院では、患者様のご希望と歯科医師としての提案をすり合わせながら、納得いただいた上で治療を進めています。仕上がりや治療回数は症状によって異なりますが、施術は1回で終わります。初診や経過観察を含め、最低3回程度の通院が必要となります。
どんな治療にも、利点と注意すべき点があります。前歯の見た目に関わる治療だからこそ、ダイレクトボンディングのメリットとデメリットを両方理解した上で選んでいただくことが大切です。
| メリット | デメリット |
|---|---|
|
|
「削る量が少なく短期間で済む」というメリットは大きいですが、その分メインテナンスや経年変化への配慮が必要です。前歯の欠けの修復という観点では、長期的な視点で治療法を選んでいただくことが大切です。
前歯のダイレクトボンディングは、セラミック治療と比較すると費用を抑えやすい傾向にあると言われています。
費用は自由診療となるため、医院によって異なります。具体的な費用は治療を検討している歯科医院に確認しましょう。
料金をきちんと説明してくれる歯科医院をお選びいただくことが大切です。
| 費用に幅がある理由 | |
|---|---|
| 欠けの大きさ・範囲 | 修復する範囲が広いほど費用が上がる傾向 |
| レジンのグレード | 色調や強度に応じて素材を使い分ける |
| 担当歯科医師の技術 | 色合わせや形態再現の精度によって工程が変わる |
| 歯の本数 | 複数歯まとめての処置か、1歯のみか |
ダイレクトボンディングは、5年経過後の生存率が約85%と報告されています※1。ただし、メインテナンスや生活習慣によって持ちは大きく変わります。
長く美しい状態を保つためには、以下のような点が大切です。
※1)5年後の全体生存率は84.6%であり、ダイレクトコンポジットビルドアップは5年後も良好な臨床成績を示した。
実際に、当院で行ったダイレクトボンディングの症例をご紹介します。
前歯が欠けてしまった患者様に、コンポジットレジンを使ったダイレクトボンディングで対応した場合です。
Before
After
| 治療内容 | 前歯の欠けに対して、コンポジットレジンを用いたプレミアムダイレクトボンディングで修復 |
|---|---|
| 期間・回数 | 2週間/3回 |
| 費用 | 自由診療 50,000円(税込55,000円) |
| リスク・副作用 |
|
前歯が欠けてしまったとき、「セラミックでないと治らないのでは」と不安になる方もおられます。しかし、症状によってはダイレクトボンディングという選択肢で、削る量を最小限に抑え・短期間で・費用を抑えて改善できる場合があります。
後悔しないためには、複数の治療法を比較した上で、ご自身に合った方法を選ぶことが大切です。前歯のダイレクトボンディング治療は、欠けの大きさや状態によって適応が分かれるため、まずは検査を受けていただいた方が良いと思います。
もし、前歯の欠けや形・隙間などの見た目でお悩みでしたら、まずはお気軽にご相談ください。あなたにとって最適な治療を、一緒に考えさせていただきます。
この記事の編集・責任者は歯科医師の東原彩人です。
歯科医師 東原 彩人

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